フィガロの結婚
笑いの奥にある
「人間の真実」
のオペラ
オペラ《フィガロの結婚(Le nozze di Figaro)》
――笑いの中に、愛と自由と人間の真実がある――
《フィガロの結婚》は、
「面白い」「楽しい」だけで終わらない、
観るほどに深みが増すオペラです。
初めての方は
「テンポが良くて笑える!」
何度も観ている方は
「人間ってこうだよな…」
と感じる。
まさに、人生そのものを描いた喜劇です。
作品データと時代背景
- 作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- 初演:1786年(ウィーン)
- 台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
- 舞台:18世紀スペイン・伯爵家の一日
この作品が作られたのは、
フランス革命の直前。
「身分の高い人が正しい」
という考えが揺らぎ始めた時代でした。
その空気を反映し、
このオペラでは
召使いが知恵で貴族に勝つのです。

あらすじ(とても分かりやすく)
物語は、
召使い フィガロ と スザンナ の
結婚式当日から始まります。
しかし問題が一つ。
主人の アルマヴィーヴァ伯爵 が、
スザンナにちょっかいを出してくるのです。
・伯爵は浮気心満々
・伯爵夫人は深く傷ついている
・フィガロは頭脳で対抗
・スザンナは実は一番の切れ者
嘘、変装、手紙、入れ替わり。
一日中、屋敷は大混乱。
けれど最後は、
伯爵が自分の過ちを認め、
夫人に許しを乞います。
笑いの中で、
人が成長する瞬間が描かれるのです。
登場人物と関係図
主要人物
- フィガロ:知恵と行動力のある召使い
- スザンナ:賢く優しい花嫁
- アルマヴィーヴァ伯爵:権力を持つが未熟な男
- 伯爵夫人ロジーナ:気高く悲しみを抱く女性
- ケルビーノ:恋に恋する少年
関係イメージ
伯爵 ─── 夫婦 ─── 伯爵夫人
│ ↑
│(下心) │(友情)
↓ │
スザンナ ── 結婚 ── フィガロ
↑
ケルビーノ(憧れ)

この作品の魅力
① 音楽が会話のように生きている
モーツァルトの天才性は、
重唱・アンサンブルにあります。
一人ひとりが違う感情を歌い、
それが絡み合い、
まるで音楽で芝居をしているよう。
② 女性たちがとても強く美しい
このオペラの真の主役は、
実は スザンナと伯爵夫人。
・知恵
・優しさ
・許す力
男性たちは振り回されっぱなしです。
③ 笑いの奥にある「人間の真実」
身分が高くても未熟。
身分が低くても賢い。
人の価値は、立場ではなく心にある
そんなメッセージが込められています。
見どころポイント
- フィガロの痛快な機知
- スザンナの明るくしなやかな強さ
- 伯爵夫人の美しく切ないアリア
- 終幕で一気に解決する爽快感
作曲家モーツァルトの凄さ
モーツァルトは、
登場人物すべてを
善人にも悪人にも描かない。
誰もが弱く、
誰もが愛おしい。
だからこのオペラは、
200年以上経っても
世界中で愛され続けているのです。
ひとことで言うなら
《フィガロの結婚》は、
笑いながら「人を好きになる」オペラ。
観終わったあと、
少しだけ人に優しくなれる。
そんな名作です。