ドン・ジョヴァンニ
「自由の代償」
そのラストは?
楽しく、怖く、
考えさせられるオペラ
オペラ《ドン・ジョヴァンニ(Don Giovanni)》
――快楽の果てに待つもの。これは“人間そのもの”の物語――
《ドン・ジョヴァンニ》は、
軽やかな音楽で始まりながら、
気づくと深い問いを突きつけてくるオペラです。
「自由とは何か」
「欲望のままに生きると、何が起こるのか」
笑いと恐怖、現実と超自然が交差する、
モーツァルト最高峰のドラマです。
作品データと時代背景
- 作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- 初演:1787年(プラハ)
- 台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
- 舞台:17世紀スペイン
この作品は、
ヨーロッパに古くから伝わる
「放蕩者ドン・ファン伝説」をもとにしています。
啓蒙思想が広がり、
「人は理性で生きるべきだ」と言われ始めた時代。
その真逆を行く男を主人公にしたところに、
このオペラの鋭さがあります。

あらすじ(とても分かりやすく)
主人公 ドン・ジョヴァンニ は、
欲望のままに生きる貴族。
女性を誘惑し、
責任を取らず、
後悔もしない。
ある夜、
彼は女性を守ろうとした 騎士長 を殺してしまいます。
それでもジョヴァンニは変わらない。
・裏切られた女性たち
・復讐を誓う者
・忠告する声
すべてを笑い飛ばし、
「今を楽しめ」と生き続けます。
しかし最後、
殺された騎士長の石像が現れ、
悔い改めるよう迫ります。
それでも彼は拒否する。
そして――
地獄の炎に飲み込まれるのです。
登場人物と関係図
主要人物
- ドン・ジョヴァンニ:快楽主義の貴族
- レポレッロ:召使い(常識人で語り部)
- ドンナ・アンナ:父を殺された女性
- ドンナ・エルヴィーラ:捨てられた恋人
- ドン・オッターヴィオ:アンナの婚約者
- 騎士長:物語の鍵を握る存在
関係イメージ
ドン・ジョヴァンニ
│ │
誘惑 裏切り
↓ ↓
エルヴィーラ アンナ
│
父を殺害
│
騎士長(石像)

この作品の魅力
① 音楽が“人間の闇”を描く
明るく華やかな音楽の中に、
不安・恐怖・狂気が混ざります。
モーツァルトは、
音楽で心理を暴く天才。
ジョヴァンニの魅力と恐ろしさを、
同時に感じさせます。
② 善悪が単純ではない
ドン・ジョヴァンニは悪人。
でも、どこか魅力的。
逆に正しい側の人間も、
迷い、弱さを抱えています。
👉 人は白か黒ではない
そのリアルさが、この作品を深くしています。

③ オペラ史上屈指のラスト
石像が動き、
地獄の扉が開く終幕は、
今観ても衝撃的。
「後悔しない生き方」は、
本当に自由なのか?
観る人の心に、
強烈な問いを残します。
見どころポイント
- ジョヴァンニの圧倒的存在感
- レポレッロの皮肉とユーモア
- 女性たちの怒りと悲しみの表現
- 超自然が現れる衝撃のラスト
作曲家モーツァルトの視線
モーツァルトは、
ドン・ジョヴァンニを
完全には否定しません。
だからこそ、
私たちは彼に引き寄せられ、
そして恐れるのです。
ひとことで言うなら
《ドン・ジョヴァンニ》は、
「自由の代償」を描いたオペラ。
楽しく、怖く、考えさせられる。
これほど深い喜劇(ドラマ)はありません。