カヴァレリア・ルスティカーナ
愛・裏切り・嫉妬・名誉・死
が凝縮されたオペラ
オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》とは
オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ
(Cavalleria Rusticana/田舎の騎士道)》は、
ピエトロ・マスカーニ作曲、1890年初演。
舞台は 19世紀のイタリア・シチリア島の農村。
わずか1幕、約70分ほどの短いオペラですが、
その中に
愛・裏切り・嫉妬・名誉・死
が凝縮されています。
この作品も《道化師》と同じく
**ヴェリズモ・オペラ(写実主義)**の代表作です。

あらすじ
復活祭の朝、シチリアの小さな村。
若者トゥリッドゥは、かつて恋人だったローラを忘れられずにいます。
しかしローラは、すでに村人アルフィオの妻でした。
今の恋人はサントゥッツァ。
けれどトゥリッドゥの心は揺れ、
密かにローラと関係を持ってしまいます。
裏切りを知ったサントゥッツァは、
怒りと絶望の中で、その事実をアルフィオに告げます。
名誉を重んじる世界。
許しはなく、選択肢はただ一つ――
決闘です。
復活祭の喜びの中、
村の外で悲劇は静かに起こります。
登場人物と関係
トゥリッドゥ:若い農夫(テノール)
→ 情熱的だが無責任
サントゥッツァ:村の娘(ソプラノ)
→ 愛と絶望に引き裂かれる
ローラ:アルフィオの妻(メゾソプラノ)
→ かつての恋人
アルフィオ:馬車屋(バリトン)
→ 名誉を重んじる男
四人の感情が、
一気に衝突する構図です。

最大の聴きどころ
このオペラで最も有名なのが、
間奏曲(インテルメッツォ)。
歌が止まり、
オーケストラだけが流れる数分間。
にもかかわらず、
言葉以上に心を語ります。
穏やかで、美しく、祈るような音楽。
しかしその裏で、
悲劇が避けられないことを観客は知っています。
この対比こそが、
《カヴァレリア・ルスティカーナ》最大の衝撃です。
時代背景と作曲家の話
マスカーニは、この作品で一躍有名になりました。
当時、彼は無名の若者。
オペラコンクールに応募したこの作品が、
人生を一変させます。
それまでのオペラが描かなかった
「農民の感情」
「日常の中の悲劇」。
それを真正面から描いたことが、
時代に強く刺さりました。
この作品の魅力と見どころ
このオペラには、
悪人も英雄もいません。
いるのは、
・弱い男
・愛にすがる女
・名誉を背負う男
・過去を捨てきれない女
誰もが、どこか理解できてしまう存在です。
だからこそ、
ラストの一言
「トゥリッドゥが殺された!」
が、重く響きます。
最後に
《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、
オペラ初心者にこそ観てほしい作品です。
短く、分かりやすく、
そして感情がまっすぐ届く。